東京慈恵会医科大学 臨床薬理学講座

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講座(研究室)の概要
本講座は1997年5月に景山茂教授のもとで発足した薬物治療学研究室を前身とし、2019年4月臨床講座として設置された。臨床薬理学は、基礎医学における薬理学とは異なり、個々の患者に対応した科学的な薬物治療(個別化治療)の確立を目指した学問領域で、第二次大戦後、欧米を中心に臨床医学の一分野として展開されてきた。本講座では、臨床薬理学の中核である薬物治療学の研究・実践とともに、サブスペシャルティとして専門性を持った臨床医でかつ領域を超えた横断的視野を持つ臨床薬理専門医・研究者の育成に努めていきたい。
【医学科教育について】
日本の医学卒前教育では、治療学に割く時間が欧米より非常に少なく、薬物治療については系統的に教育を受けることが少ない。本学では学生時代から科学的な薬物治療の考え方を学ぶ機会を設けている。4年次の薬物治療学では、新薬開発から臨床試験、副作用、薬害、薬物代謝、薬物相互作用、病態に応じた薬物投与設計を教えている。そのゴールは学生が医薬品の添付文書を読み、活用できることである。
【大学院教育・研究について】
ヒトを対象とした臨床薬理学的研究を行っている。本講座では肝臓における薬物代謝(特に代謝酵素P450)について長年取り組んできた。諸種の因子で主代謝臓器である肝臓が障害されると、多くの薬物の薬物動態(PK)が変化し薬効(PD)も変化し、思わぬ副作用を招くことになる。また、高齢化とともに生理機能は低下し、薬物動態のみならず薬力学にも大きく影響する。このように加齢あるいは病態の変化に応じた各患者における薬のPK/PD の変化を予測しうるモデルの確立を行う。
一方、新薬の開発、コホート研究から新たな薬物治療の可能性を探索し検証的研究を行っていくことも臨床薬理学の重要な役割である。そのために薬効評価学、新たな効果指標の確立に取り組む。その手法として費用対効果、レギュラトリーサイエンスの視点から薬物治療の評価を行っていく。
【講座(研究室)からのメッセージ】
薬物治療の基本は有害事象を防ぎながら最大の治療効果を上げることである。臨床薬理学は臨床の中にあって、患者における薬の科学的な「合理的薬物治療」を研究していく学問領域である。そのテーマは各疾患における専門領域から診療科を超えた横断的領域まで幅広い。近年、医療が専門化し、高度化しているなか、非薬物治療の進歩も目覚ましい。しかし、臨床医、とくに内科医にとってのメスは薬であるという意識を持って取り組んでいる。
Member

教授